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思い出を明日につむぐ家

思い出を明日につむぐ家

みんなが一丸となって夢の実現に挑んだ、家づくり。

  • 世界遺産で名高い日光東照宮からさらに山深くへ車で30分。くねくねとした山道を登り続けていると突然景色が開け、 かつて鉱山で栄えた足尾町が現れます。今回伺った“コッタンハウス”はここ足尾町のさらに山の中、 森林と渓流の中にひっそりと佇んでいます。

    オーナーのN様はもともとこの場所で、奥様と一緒に旅館を営んでいました。 名女将としてテレビに出演した奥様には多くのファンがいて、日光連山の豊かな大自然と、情緒あるわたらせ渓谷鉄道、 そしていつも明るく優しさにあふれ、家庭的な手料理でもてなす名物女将の奥様を目当てに、旅館はいつも観光客で賑わっていました。 しかし、20年以上にわたって多くの人々に愛された旅館の歴史はついに幕を閉じることとなり、平成22年の8月、惜しまれながらも旅館は取り壊されました。

    その後、N様は奥様と二人で暮らすための、 終の棲家を旅館の跡地に建てることを決め、計画を始めました。

  • 「カクニシに私たちの家づくりを依頼したのは、地元栃木を愛し、人のつながりを大切にしているところに共感したからです。 計画期間も工期もとても短く、急いでいたにもかかわらず、家をつくり上げていく過程を大切にしながら、 夢を叶えようとしてくれる皆さんの姿勢に妻も心を打たれていたようです。」とN様は振り返ります。

    実はこのとき、奥様は病に侵されていたのです。最期の時を二人のための家で過ごしたいというのが、 ご夫婦のご希望でした。 限られた時間の中で、お二人の夢を叶えたい。なんとか間に合ってもらいたい。N様もカクニシ全社員も一丸となってお二人の夢の実現に挑みました。

    しかし、残念ながら病の進行は想像以上に早く、終の棲家の完成を目前にして奥様は息を引き取られました。 「間に合わなかったことは本当に残念でしたが、妻はこの家づくりにとても満足していたんです。少しずつ私たちの夢が形になっていく過程を、 心から楽しんでくれていました。」とN様。

奥様がつむいだ人のつながりを、明日へとつなげていくために。

  • 後に、N様は完成した住まいで暮らし始めましたが、旅館の思い出の品や、 手芸や絵がご趣味だった奥様が大切にしていた品々や作品たちの整理には手を付けられずにいました。そんなN様の目に明かりを灯したのは、 旅館の古いお客様たちでした。 。

    旅館を愛してくれていたお客さんが、閉館したことを知らずに女将さんいる?って次々と訪ねて来てくれるんです。 皆さん妻の死を本当に惜しんでくれて、昔話やその後の話に花を咲かせているうちに、 妻がつむいだ人のつながりは今もしっかりと残っていることに改めて気が付きました。」

    そう思ったN様は、ある決心をします。 「旅館を、女将を愛してくれている沢山の人々のために、 そして妻と私のために、思い出を私一人の胸にしまい込むのではなく、みなさんと共有して、人が集まれる場所をここにつくろう。 妻の生きた証を残そうと決心したんです。 こうして、記念館“コッタンハウス”の計画が始まりました。

二人の家に寄り添う、みんなのための記念館。

  • 「カクニシとはすでに密な信頼関係ができていたので、思いや目的だけを伝えて、 デザインは全て任せることにしました。設計さんは妻と細かくやりとりをしていたので、妻の趣味趣向を知り尽くしていたんです。 提案してくれたプランを見た時に、妻ならきっとこういうのが喜ぶだろうと、細かく考えてくれているのを感じました」とN様。

    記念館は屋根の形や壁の色を変えた5つのボリュームが寄り添うように集まり、終の棲家を囲む構成。 母屋をご夫婦に、記念館を人々のつながりに見立て、思い出をつむぐように空間をつなぎあわせたデザインです。

    中に入ると、奥様の明るい笑顔を象徴するように、 天窓から光が降り注ぐエントランスが出迎えます。回廊には木工や手芸など多趣味だった奥様が旅館のお客様を迎えるために作った思い出の作品が飾られています。 旅館のお客様たちはこれらの作品を通して、訪れた当時のことを鮮明に思い出してくれるそうです。 さらに突き当りまで進むと、旅館の事務室を当時のままに再現したスペースがあります。

女将の想いを、伝えていくために。

  • ギャラリースペースは奥様の絵画作品を多数展示しています。視線を妨げないように足元や天井際にピクチャーウィンドウを配し、 背後の山の緑豊かな風景を切り取っています。これは足尾の自然が大好きだった奥様がきっと喜ぶだろうという配慮でもあります。

    談話室は旅館に飾られていた思い出の品々に囲まれながら、思い出をゆっくりと語り合えるスペースになっています。 この椅子やテーブルは旅館で使われていたもの。新しい建物でありながらも、過去の記憶に触れられる工夫を随所に散りばめています。

    「この記念館をつくりあげてくれたカクニシには本当に感謝しています。 足尾の地を訪れる方々は楽しい観光旅行客ばかりではなく、何かを抱えていたり、悩みを持っている方も多くいらっしゃいます。 そういう人々と語り合い、元気を分けてあげられるような場所にしたい。純粋で無垢で、多くの人々に愛されていた名物女将の想いを、 これからも伝えていきたい。」とN様。

    足尾の新名所“コッタンハウス”はこれからもずっと、奥様の想い通して人をつむぐ場として、この場所にあり続けることでしょう。

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