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建て替えとリフォームどっちがいい?費用や注意点を解説

建て替えとリフォームどっちがいい?費用や注意点を解説

一戸建てに住んでいる場合、ライフイベントの発生や状況の変化によって、自宅の建て替えを検討する人は少なくありません。建て替えすることで、間取りや設備を新たに設計し直せるメリットがあります。

しかし、「建て替えとリフォームはどっちを選ぶべき?」「建て替えの費用や事前に注意しておくべきことは何?」といった疑問が出てくる人も多いでしょう。

そこで本記事では、建て替えとリフォームそれぞれのメリット・デメリット、費用や注意点を解説します。建て替えで最初にするべきことやリフォームにするべきか迷った際の選び方についても紹介するため、ぜひ参考にしてください。

建て替えとは?

建て替えとは、今住んでいる既存住宅の基礎部分を壊してその土地に新しい建物を建てることです。建て替えは基礎を含めた住宅内の構造を取り壊すため、希望通りの間取りや設備を設置できるケースが多いです。

 

また、建て替えは最新の建築基準法に則った高性能な住宅を建てられる特徴があります。耐震工事や断熱工事など、入居者の住みやすい家を設計できます。

 

ただし、全ての住宅が建て替えできるわけではありません。建築基準法に則った状態の幅員の住宅でなければ、建て替えできないなどの制約が存在します。このような住宅は「再建築不可物件」と呼ばれており、建て替えを希望する場合はあらかじめチェックしましょう。

リフォームと何が違う?

建て替えを検討している場合「建て替えとリフォームって何が違うの?」といった疑問が出てくるでしょう。建て替えとリフォームは、住宅の基礎から設計し直すかどうかが最大の違いです。リフォームは現在の住まいをそのままに、間取りを含めた部分的な設備を回収して新築同様の状態に戻すことを指します。

 

リフォームは部分的に改築する工事や目に見えるもの全てを新しくするフルリフォームなど、回収範囲は様々です。一部分をリフォームする場合は、基本的にコストを抑えられるケースが多いです。さらに、リフォームなら築年数が古い住宅の良い部分を残して、他を新しくするなどの工事も依頼できます。

 

一方で、劣化が激しい部分は補修費用がかさんでしまったり、建て替えに比べて自由度が少ないなどの注意点があります。

 

建て替えのメリット、デメリット

ここでは、建て替えのメリット・デメリットを解説します。これから建て替えを検討している人は、良い部分と悪い部分を把握して希望にマッチしているか確認しましょう。

メリット

建て替えのメリットは、以下の通りです。

  • 自由度が高く家の設計が可能
  • 最新の機能性がある住宅を建てられる
  • 建て替えローンへ変更ができる

それぞれ順に解説します。

自由度が高く家の設計が可能

建て替えは基礎を含めて間取りや設備を一から見直して設計を行います。リフォームでは部分的な設備や間取りしか改修ができません。フルリフォームを行う場合でも、基礎工事からやり直すことができないため、どうしても限定的になってしまいます。

 

一方、建て替えは基礎部分を取り壊し、ライフスタイルや希望に合わせた自由な発想で設計が可能です。思い描いていた間取りに変更もできることから、これまでとは全く違う構造で建築も可能です。そのため、建て替えなら現状の住まいで感じている不満な部分を解消して希望を兼ね備えた住宅を建てられます。

最新の機能性がある住宅を建てられる

基礎から建て替える場合、最新機能性がある住宅を建てられます。一から設計を行うことで現代の建築基準法に則った状態で高性能な住宅へ建て替えが可能です。近年注目されている省エネ・創エネなど、多様な性能を備えた住宅になります。

 

また、建て替えによって基礎工事を改めて行うことで、耐震工事や断熱工事が可能です。リフォームを行う場合は、間取りを用いた耐震・断熱工事しかできません。しかし、建て替えなら基礎から耐震・断熱工事を実施できるため、高い機能性の住宅へ変更できるでしょう。

建て替えローンへ変更ができる

住宅購入時のローンが残っていても、建て替えを選ぶことで条件次第では新たに住宅ローンを組めます。住宅の建て替えを行う場合は「通常のローン」と「建て替えローン」のいずれかを選択します。建て替え前の住宅ローンを完済している場合、新たに通常のローンを組むケースが多いです。

 

一方、建て替え前の住宅ローンが一部残っていたとしても、建て替えローンを活用すれば残債と一本化してローンを組み替えられます。住宅ローンの金利が高い人でも、建て替えローンに借り換えることで金利が下がるケースも多いです。もちろん、総額の融資額が増えるため、申し込む際は入念に資金計画を建てましょう。

 

さらに、建て替えローンを組む場合は、2回目の住宅ローン控除の活用が可能です。一度住宅を建てた際に住宅ローン控除を活用した人でも、建て替えローンなら改めて住宅ローン控除を受けられます。自治体によっては、建て替えによる取り壊し費用の助成金も活用できる可能性があります。取り壊しの助成金に関しては、工事の着工前に申請が必要になるため、あらかじめ注意しましょう。

デメリット

建て替えのデメリットは、以下の通りです。

  • 建て替え前と同様の基準で建築できない可能性がある
  • 総工費が高くなるケースが多い
  • 施行中は仮住まいへの引越しが必要

それぞれ順に解説します。

建て替え前と同様の基準で建築できない可能性がある

建て替えのデメリットとして、新築時と同様の対応ができない可能性が挙げられます。建築基準法は年々変更されており、過去の設計や構造が適用されないケースも少なくありません。例えば、新たな規制が生まれたことで同規模の建物を建築できなかったり、現在の床面積よりも狭くなったりする恐れがあります。

 

また、建て替えの際に注意すべき点は建築基準法だけではありません。地方自治体の基準や都市計画法など、様々な法令が変更されている可能性が高いです。建て替えを行う際は、あらかじめ現行の法令を遵守し、希望の設計や間取りが叶えられるか確認しておきましょう。

総工費が高くなるケースが多い

建て替えは建物を一から設計し直すことから、建築費だけではなく解体費用や廃棄費など総工費がかかるため、リフォーム工事よりも高くなるケースが多いです。既存の住宅を解体して一から設計できるメリットがある一方で、地盤調査や測量・改良工事など建て替えならではの費用が発生します。

 

また、建て替え費用は一般的に20坪で1,500万円前後、40坪で4,500万円程度が目安です。間取りを増やす場合は追加費用が必要です。建て替え期間中の仮住まい費用なども求められます。さらに、建て替えには不動産取得税や固定資産税、登録免許税など各種税金の支払いも発生します。コストを抑えるためにも、ハウスメーカーや施工会社と相談しながら費用を算出しましょう。改修費用以外にも様々なコストがかかるのは建て替えのデメリットと言えます。

施工中は仮住まいへの引越しが必要

建て替え工事の施工中は、仮住まいへ引越しが必要です。一般的に建て替えの工期は約3〜6ヶ月と言われており、依頼してからすぐに工事が終了するわけではありません。標準リフォームに比べて工期が長いことから、仮住まいを用意するのが一般的です。

 

建て替えによる取り壊しが発生する前に仮住まいへ引越し、完了するまで移り住みます。もちろん、仮住まいへの引越し費用や家賃などのランニングコストは依頼者負担となるため、その分の費用準備が必要です。

 

また、仮住まいから新居への移動が必要になるため、計2回の引っ越し費用を見越して建て替えを依頼しなければなりません。引っ越し費用や手間はリフォームに比べて多いため、ローン以外の費用計画も十分に立てておきましょう。

建て替えをする前に知っておくべき注意点

建て替えを行う際は、ハウスメーカーや施工会社へ依頼するだけではありません。費用や手続きなど、建て替えをする前にポイントを把握しておくことで、スムーズに移り住むことができます。建て替えをする前に知っておくべき注意点は、以下の通りです。

  • 解体費用が高額
  • 再建築不可物件
  • セットバック
  • 地盤改良

それぞれ順に解説します。

解体費用が高額

一戸建てはすでに土地を取得しているため、新たに費用がかかることはありません。必要なのは建て替え時の解体費用です。解体費用とは、旧居を解体するための費用を指します。

 

建て替えの解体費用は住宅の構造によって異なります。一般的には木造住宅なら一坪あたり2〜6万円、鉄骨住宅は3〜6万、鉄筋コンクリートは5〜7万円前後になる可能性が高いです。例えば、40坪の木造住宅を解体する際は、80万〜240万円程度の解体費用が発生します。

 

また、解体費用を算出する際は、建物を壊すための費用だけではなく廃棄物の処理費用も別途必要です。残地物の処理費用なども含まれるため、プラス数万円のコストが発生することをあらかじめ把握しておきましょう。

再建築不可物件

建て替えを進める際には、再建築不可物件ではないか確認が必要です。再建築不可物件とは、建築基準法を満たしておらず新たに建物を立てられない土地を指します。都市計画法で定められている「都市計画区域」もしくは「準都市計画区域」にしか再建築不可物件はありません。

 

都市計画区域や準都市計画区域に建物を建築する際は、建築基準法の接道義務を満たす必要があります。接道義務は幅員4m以上かつ、建物の敷地が2m以上接している土地です。接道義務を満たしていない住宅は等しく再建築不可物件に分類されるため、状況に関わらず建て替えは不可能です。旧居を購入した際は建てられたとしても、建築基準法や都市計画法が改正された場合は、同じ土地でも建て替えができないケースも少なくありません。

 

再建築不可物件はデメリットが多い一方で、通常の土地よりも価格が安く設定されている可能性が高いです。再建築不可物件は他の土地に比べて資産価値が低いため、安価に購入できるケースが多いです。さらに、通常より固定資産税が安く設定されているため、ランニングコストも抑えられます。

 

また、再建築不可物件を建て替える際は、接道義務を満たせるように対応が必要です。例えば、近隣の土地を購入し、接道義務の範囲内になれば建て替えが可能になります。

 

住宅を建てた土地が都市計画区域もしくは準都市計画区域に当てはまる場合は、再建築不可物件の可能性が高いです。再建築不可物件を建て替える際は、近隣の土地を確認しハウスメーカーと相談しながら対策を実施しましょう。

セットバック

建て替えを行う際はセットバックについて把握が必要です。セットバックとは、住宅を全面道路から後退させて、その分土地を道路として提供する制度です。つまり、セットバックがある場合は、建て替え時に使用できる面積が狭くなる可能性が高いです。

 

建築基準法によって宅地は4m以上の道路に対して2m以上接する必要があります。そのため、土地に接道義務を満たす土地を用意するためにセットバックの存在が重要です。不動産会社が土地や住宅を販売する際に「要セットバック」と記載しているケースがあります。このように記載してある物件は、建て替えを行う際にセットバックに注意して設計が必要であることを指しています。

 

また、セットバックは主に火災や地震など、災害が発生した際に救急車や消防車の通行を遮らないために設けられています。他にも斜線制限を和らげる方法として、セットバックを用いているケースも見受けられます。セットバック付きの住宅でも建て替えは可能ですが、購入時よりも使える面積が減少するケースが多いです。建て替えを検討している場合は、不動産会社やハウスメーカーに相談して、最大限土地を活用できるように依頼しましょう。

地盤改良

住宅の建て替え時は、地盤改良を行うケースが多いです。地盤改良とは、住宅の基礎を設計に合わせて適切にするための工事です。地盤改良工事は地盤調査によって建て替え工事の設計内容に合わない地盤と発覚した際に行われます。

 

地盤が弱い土地は、時間経過につれて地盤沈下や液状化現象が発生したり、地震によって建物が倒壊してしまう恐れがあります。そのため、地盤改良工事によって、建て替えに最適な土地へと整えることが可能です。

 

また、建て替え工事を行う際は地盤調査が必須です。地盤調査は建築基準法の瑕疵担保責任で義務化されているため、行わない場合は違反になるため注意しましょう。

建て替えで最初にすべきことは?

建て替えを検討している場合「建て替えって一番最初に何をするべきなの?」と考える人も多いでしょう。住宅の建て替えで一番最初にすべきことは目的の明確化です。一般的に建て替えと聞くと、現在の住居を解体して新たに作り上げる人が多いでしょう。

 

しかし、リフォームとは違う方法でコストを抑えて新築物件を保有したい人は、中古物件を購入し、新たに新築同様に建て替えるケースもあります。このように人によって建て替えで最初にすべきことは異なるため、住宅を建て替える目的をはっきりさせることが重要です。

 

ここでは、建て替えの流れや期間などを解説します。

建て替えの流れ

住宅の建て替えを行う流れは以下のとおりです。

  1. 建築会社を選ぶ
  2. 資金計画を立てる
  3. 敷地調査を実施する
  4. 住宅の設計プランを決定する
  5. ローンの本審査を行う
  6. 仮住まいへ引越しする
  7. 工事完了後に引き渡しを行う
  8. 登記手続きを実施する

それぞれ順に解説します。

建築会社を選ぶ

建て替えを決めた際は、まず建築会社を選びましょう。建築会社へ建て替えを依頼して、設計事務所やハウスメーカーなどと協力しながら新居を作り上げます。インターネットや自宅近隣の建築会社へ問い合わせします。

 

また、建築会社を選ぶ際は、モデルハウスを見学したり、口コミを確認したりして情報を確認します。建築会社の中には希望予算内で建て替えできない可能性もあります。1社だけではなく複数社へ問い合わせして、自分の要望に合う建築会社を選びましょう。

資金計画を立てる

建築会社を選べたら、実際に建て替えを行うプランや資金計画を立てます。資金計画とは施工総額や頭金、建て替え後の住宅ローンなど全体的に資金をどのように使うかを考えることです。建て替えに使える費用を元に希望プランにかかる施工費用を割り出し、住宅ローンの返済計画などを考慮して計画を立てます。

 

また、予算総額は頭金や住宅ローンでの借入金なども含めて算出します。建築会社と相談しながら、資金計画を立てていき、不明点は都度確認しましょう。想定通りに建て替えができないケースもあるため、少し金額に余裕を持っておくと安心です。

敷地調査を実施する

ある程度の資金計画や建築プランが決定した後は、建築会社へ建て替えを行う土地の敷地調査を依頼します。敷地調査では土地の周辺状況や測量などを実施します。建て替えでは地盤調査が必須になるため、コストはかかりますが必ず依頼しましょう。

 

また、建築会社によっては地盤強度に合わせた設計見積書を出してもらえるケースがあります。依頼する建築会社が確定している場合は、提案内容を適度に確認が必要です。

住宅の設計プランを決定する

敷地調査が完了した後は、建築会社と住宅の設計プランを決定しましょう。建築会社によって依頼費用が異なるため、敷地調査を基準とした設計プランを元に見積もり費用を確認します。設計プランを確定するタイミングで、建築会社を決定します。建築会社と請負契約を進めて、建て替え工事を依頼します。

 

契約完了後はより具体的な設計プランを決めましょう。家のフローリングの種類・壁紙の色、コンセントの数などを決めるケースが多いです。実際の生活をイメージしながら詳細設計をすることで、施工完了後の失敗を防げます。

 

また、住宅の設計プランを決定する際は、完成後のメンテナンスやアフターフォローについて確認が必要です。建て替え完了後は長く住み続けるケースが多いことから保証体制について把握しておきましょう。

ローンの本審査を行う

建築会社との契約や詳細の設計が完了した後は、ローンの本審査を進めます。建て替えによる住宅ローンの審査は、建築確認申請書の提出が必要です。建築確認申請が完了すれば、住宅ローンの本審査が進められます。

 

また、住宅ローンに関連する書類を作成する際は、建築会社や金融機関に相談しましょう。初めての場合はどのように記載すればいいかわからない箇所も多いため、サポートを受けながら作成がおすすめです。

仮住まいへ引越しする

住宅ローンの本審査に合格した後は、建て替えの詳細プランに合わせて施工を始めます。建て替えの場合は、一度住宅を取り壊すため仮住まいへの引越しが必要です。一般的に大手ハウスメーカー経由で建て替え工事を依頼する場合は、関連会社の住宅を紹介してもらえるケースが多いです。建て替え工事は3〜6ヶ月程度かかるため、住みやすい環境を選びましょう。

 

また、個人の建築会社に依頼する場合は、自由度の高い施工を依頼できる一方で、仮住まいを自身で探す必要があったり施工完了後の保証が少なかったりします。建て替えを行う時期によっては、仮住まいとして利用できる物件が中々見つからないことも少なくありません。場合によってはマンスリーマンションを契約するなど、状況に合わせて選択しましょう。

 

旧居の解体工事が完了した後は、建築会社から「建物滅失登記」を申請し、本格的に建て替え工事へ着工します​​。着工前に地鎮祭や上棟式などを行う場合は、建築会社とあらかじめスケジュールを調整しておきましょう。

工事完了後に引き渡しを行う

無事、建て替え工事が完了した後は、建築会社と一緒に引き渡し手続きを行います。引き渡し手続きでは、住宅が図面通り設計されているか、不具合がないかなどの検査を実施します。

 

引き渡し調査で問題がない旨を確認できたら、建築会社から鍵を受け取ることで施工完了です。万が一、引き渡し調査で不具合を発見した場合は、遠慮することなく建築会社へ連絡しましょう。

登記手続きを実施する

鍵の受け取りまで完了した後は、建て替えた住宅の登記手続きを行います。住宅ローンを借り入れる場合は一般的な「建物表題登記」だけではなく「抵当権設定登記」も取得しましょう。これらの登記手続きが完了しなければ、住宅ローンの最終手続きが完了しません。不安な場合は建築会社へ引き渡し後の手続きを確認しておきましょう

建て替えの期間

一般的に建て替えに必要とされる期間は3〜6ヶ月程度です。建て替え完了までにかかる期間を3つに分けると以下のとおりです。

  1. 建築会社の選択から契約完了まで(1〜2ヶ月)
  2. 住宅の詳細設計からローンの本契約まで(2〜3ヶ月)
  3. 解体工事から引き渡し完了まで(3〜5ヶ月)

ただし、建て替えにかかる期間は人によって大きく異なります。慎重かつ詳細に住宅の設計を行う場合は、1年かけて建築会社と請負契約を結ぶ人もいます。自分にとって家選びのどこに重点を置くかによって建て替えの期間は異なると言えるでしょう。

建て替えの費用

住宅の建て替えを検討している場合「建て替えには実際にどんな費用がかかるの?」といった疑問が出てくるでしょう。2020年に住宅金融支援機構が発表したデータによると、土地費用負担なしの約37.63坪の住宅融資利用者にかかった建設費は3,532.5万円です。つまり、この金額が建て替え工事における費用の指標と言えます。

 

具体的に住宅の建て替えにかかる費用は、以下のとおりです。

  • 地盤調査・改良工事費用
  • 解体費用
  • 測量費用
  • 建築費用
  • 引越し・仮住まい費用
  • 地鎮祭・上棟式費用
  • 住宅ローン関連費用
  • 各種税金・保険費用

それぞれ順に解説します。

地盤調査・改良工事費用

地盤調査費用とは、住宅を建て替える前に必要な費用です。一般的には数万〜数十万円程度で依頼できます。地盤調査は建て替えが決定した段階で建築会社へ依頼し、地盤の状態を確かめます。

 

また、地盤調査の結果、やわらかい地盤や建て替えに適していないと判明した場合は改良工事が必要です。改良工事費用は地盤の状態によって大きく異なります。状態によっては数十万〜数百万円規模でコストがかかるケースもあるため、あらかじめ注意しましょう。

解体費用

建て替え工事は、一度住宅を解体するため解体費用が発生します。住宅の解体費用は家の構造によって費用が異なり、一坪あたり3万〜7万円程度が一般的です。そのため、30坪の木造住宅だと70万〜100万円程度の費用が必要です。

 

また、解体費用とは別に廃棄物の処分費用も発生します。あらかじめ、建築会社に費用を算出してもらいましょう。

測量費用

測量費用とは、建て替える住宅の測量を行い土地の形状を確定させるコストです。測量は測量士や土地家屋調査士へ依頼する必要があります。

 

官民査定省略の場合は30万〜40万円、確定測量を依頼する際は60万〜70万円程度が相場です。住宅の設計のみを依頼するなら3万〜5万円程度で抑えられます。

 

また、土地購入時に測量を行っている場合は省くケースがあります。地盤調査時に測量を依頼するか相談すると良いでしょう。

建築費用

建築費用とは、その名の通り解体した住宅を建て替える際にかかるコストです。一坪あたり50万円程度が相場ですが、使用する材料によっても金額が変動します。

 

また、建て替え時は住宅設計の費用を別途算出するケースが多いです。設計費用に関しては建築費用の10%程度が相場となるため、建築会社へ合わせて確認しておきましょう。

引越し・仮住まい費用

建て替えを行う際は、引越しや仮住まい費用の準備が必要です。これらの具体的な金額は仮住まいに選ぶ物件によって大きく異なります。

 

また、依頼する建築会社によっては、建て替え工事に限定して安価なアパートやマンション物件を紹介してもらえる可能性があります。ただし、全ての費用を負担してもらえるわけではないため、別途用意が必要です。

地鎮祭・上棟式費用

住宅の建て替え時に地鎮祭・上棟式を行う際は、別途費用の準備が必要です。地鎮祭は着工時に氏神様に工事の安全を祈願するために行います。上棟式は骨組み完成時に実施し、工事が無事進んでおり、最後まで安全に工事を進められることを祈る目的があります。

 

それぞれ3万〜5万円程度が費用の目安です。地鎮祭・上棟式は家庭の事情や時代の流れとともに行わないケースも増えています。

住宅ローン関連費用

建て替え時に住宅ローンを組む場合、関連する費用の支払いが必要です。毎月の住宅ローンの返済に加えて、別途下記費用の支払いも把握しておきましょう。

  • 事務手数料
  • 保証料
  • 抵当設定
  • 登記費用

住宅ローン関連費用は、利用する金融機関によって費用や金額が異なります。一般的にはこれら費用を住宅の引き渡し時に支払うケースが多いです。住宅ローン契約時に金融機関へ確認しておくことで、スムーズに手続きを進められるでしょう。

各種税金・保険費用

建て替え時は各種税金や保険費用の支払いも欠かせません。具体的に必要な税金・保険費用は以下のとおりです。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 火災保険料

それぞれ順に解説します。

印紙税

印紙税とは、建て替え時に課税対象の書類を作成する際に必要な税金です。契約書書類に触接貼り付けることができ、収入印紙を貼り付けて提出する必要があります。建て替え工事では「工事請負契約書」を作成する際に印紙税が発生します。

 

印紙税の金額は、建て替え工事の金額によって異なります。1万円以下の場合は非課税ですが、1万円〜50億の幅で細かく金額が設定されています。具体的な印紙税の費用に関しては、国税局が発表しているデータを確認しましょう。

 

また、収入印紙は郵便局や法務局で購入が可能です。少額の収入印紙ならコンビニで購入も可能なため、印紙税に応じて準備しておきましょう。

登録免許税

登録免許税とは、新たに不動産を取得した場合や建て替えた際に発生する税金です。具体的には法務局へ所有権の登記簿登録を行う際に、登録免許税の支払い義務が発生します。登録免許税は「家の固定資産税評価額×税率」で算出が可能です。

 

固定資産税評価額とは、固定資産税の基準となる価格を指します。3年に一度見直しが行われており、毎年1月1日時点の工事価格に基づいて決定します。固定資産税評価額が設定されていない場合、法務局の定めている基準値を元に算出が必要です。

 

また、建て替え時は登録免許税以外にも登記の際にコストがかかります。税金ではありませんが、減失登記や所有権保存登記など様々な費用が発生します。タイミングによって支払いが必要な登記費用は異なるため、建築会社と相談しながら決定しましょう。

不動産取得税

不動産取得税とは、新たに住宅を取得した場合に必要な税金です。新築だけではなく建て替えの場合でも支払いが発生します。建て替えの場合は住宅だけに不動産取得税が発生します。土地に関しては新たに取得していないことから、不動産取得税の支払いは不要です。

 

不動産取得税の計算方法は「固定資産税評価額×税率」です。新築住宅や認定長期優良住宅は一定金額を満たしている場合は優遇措置を受けられます。優遇措置が適用されると控除を受けられるため、建て替えを実施する前に確認しておきましょう。

火災保険料

住宅を建て替える際は火災保険の支払いが必要です。これまで火災保険へ加入していたとしても、建て替え時に改めて加入しなければなりません。火災保険の支払い金額は保証対象や範囲によって異なります。保険会社へ再加入の連絡をした際に改めて詳細の設定が必要です。以前の契約内容と住宅の状態が異なることから、建て替え工事を始める前に保険会社へ連絡しましょう。

 

一般的に火災保険は毎月ではなく、年間契約で支払うケースが多いです。そのため、途中解約する場合は未経過期間の保険料が返ってくることがあります。建て替えが決まったら、できるだけ早い段階で保険会社へ連絡することで、返戻率が高くなるでしょう。

 

また、建て替え期間中の保険は、建築会社側で負担することが多いです。一方で、保険加入は義務化されていないため、トラブル防止のためにも着工前に必ず確認が必要です。

建て替えの費用安く抑える方法

建て替えの費用は1,000万〜4,000万円程度かかるため決して安い金額ではありません。そのため、「建て替え費用をできるだけ安く抑える方法を知りたい」と考えている人も多いでしょう。建て替えのお金を安く抑えるポイントは、以下のとおりです。

  • 複数の建築会社から見積もりを取得する
  • 部分的にグレードを落とす
  • 分離発注を行う
  • 贈与税の非課税枠を活用する
  • 残地物を自身で処理する

それぞれ順に解説します。

複数の建築会社から見積もりを取得する

建て替えの費用を抑えるためには、複数の建築会社から見積もりを取得しましょう。建て替え費用の大部分は建築費です。建築費を減らせば、総工費を抑えられます。

 

建築費会社は数多く存在しており、1社だけから見積もりを取得したとしても相場がわかりません。詳細な品質基準やアフターフォローに関しても1社だけでは判別できないため複数社から見積もりを取得して、一番希望やバランスにマッチする会社を選びましょう。

部分的にグレードを落とす

建て替えの費用を抑えるなら、工法や建材にこだわりすぎず部分的にグレードを落としましょう。近年は住宅用の建築資材が高騰しており、全て希望の建材を使用すると価格が高くなります。そのため、部分的にグレードを抑えて譲れない部分は希望を叶えるように設計しましょう。

 

また、家の間取りや形をシンプルにすることでコストを抑えられるケースも多いです。シンプルな間取りは建て替え費用を抑えられるだけではなく、その後のメンテナンスをしやすいメリットもあります。

分離発注を行う

建て替え費用を抑えるなら分岐発注を検討しましょう。分離発注とは、建築会社に建て替え工事を一括発注するのではなく、解体工事と建築工事を別々に依頼することです。家の建築は建設会社へ依頼し、解体は解体業者へ依頼するため、個別に見積もり取得しコストを抑えられるケースが多いです。

 

また、それぞれの工事について業者と直接やりとりできるため、希望が反映されやすいです。コストを抑えて建て替えを依頼するなら分離発注がおすすめと言えます。

 

一方、分離発注をする場合はそれぞれに問い合わせる手間がかかったり、住宅会社が対応している手続きも自身で対応が必要だったりします。さらに、一括発注では適用される瑕疵担保履行法を分離発注では受けられません。瑕疵担保履行法は引き渡しから10年間適用されるため、制度を活用できないのは大きなデメリットです。分離発注と一括発注のメリット・デメリットを把握した上で選択が必要です。

贈与税の非課税枠を活用する

建て替え時に親族から資金援助を受ける場合は、贈与税の非課税枠を活用しましょう。家族である父母や祖父母など直系尊属からの贈与を受けた場合、一定条件を満たせば贈与税を非課税に変更できます。

 

適用の条件は国税庁が発表しており、年度によって適用条件や金額が異なります。条件を満たしている場合は、贈与税の非課税枠を活用すれば建て替え費用を抑えられるでしょう。

残地物を自身で処理する

建て替え費用を抑える方法として、残地物の処理が挙げられます。解体工事を実施する際、住宅内に荷物が残っていると残地物処分費用として建築会社から別途費用を請求されます。残置物処分費用は、処分してもらう量によって金額が異なります。自分で処分できるゴミや不用品に関しては処分を実施しましょう。

 

ただし、場合によっては建築会社へ不用品の処分を依頼した方がコストを抑えられるケースがあります。残地物の量に合わせて処分対応を行いましょう。

建て替えかリフォームか迷ったら

「結局、建て替えとリフォームがどっちがおすすめなの?」と疑問を感じている人も多いでしょう。建て替えとリフォームがおすすめなのかは依頼者の希望や状況によって異なります。ここでは、建て替えがいいパターンとリフォームがいいパターンのそれぞれを解説します。

建て替えがいいパターン

建て替えがいいパターンは、以下の通りです。

  • 自由な設計で間取りや設備を一新したい場合
  • 住宅の耐震面に不安を感じている場合
  • 改めて住宅ローンを組みたい場合
  • 住み継ぎを考えている場合

住宅を自由に設計し、既存の設備や間取りを一新して、よりよい暮らしをしたいなら建て替えがおすすめです。建て替えは住宅を一度解体するため、リフォームよりも柔軟かつ自由に構築できます。基礎から作り直すことから、リフォームでは難しい耐震工事も可能です。耐震面に不安を感じているなら、建て替えを選んだ方が良いパターンもあります。

 

また、建て替えはリフォームより簡単に金利の低い住宅ローンを組みやすいです。各種税金控除や補助金も活用できるため、長期的な費用負担を考えるとお得なケースが多いです。現在の住宅に20年・30年住み続けたいと考えているなら建て替えを検討しましょう。

リフォームがいいパターン

リフォームがいいパターンは、以下のとおりです。

  • コストを抑えて住宅を改修したい場合
  • 短期間で工事を終わらせたい場合
  • 既存の設備を活かしたい場合

できるだけ費用を抑えて住宅を回収したいならリフォームがおすすめです。リフォームは建て替えに比べてコストを抑えて依頼できるケースが多く、部分的な改修を実現できます。既存の設備を活かした設計も依頼できるため「コストは抑えたいけど間取りを変えたい」と考えている場合はリフォームが最適と言えます。

 

また、リフォームは住み続けながら工事を進められるため、引越しや仮住まいの準備は必要ありません。小さいお子さんがいる家庭なら、生活環境を変えずに暮らせる点は大きなメリットです。

まとめ

以上、戸建ての建て替えとリフォームそれぞれのメリット・デメリット、費用や注意点を比較し解説しました。

 

建て替えとリフォームにはそれぞれメリット・デメリットがあり、住宅に対する希望やライフスタイルによって選択は異なります。建て替えはリフォームに比べてコストがかかってしまったり、工事中の仮住まいが必要だったりします。

 

しかし、建て替えを選ぶことで自由度の高い設計ができたり、建て替えローンへ変更ができたりします。基礎から住宅の設計を行うため、耐震工事も依頼が可能です。築40年以上の住宅だと旧耐震基準で設定されている場合もあるため、新耐震基準で建て替えできます。住宅の建て替えを検討している場合は、本記事を参考に建築会社へ相談してみましょう。

 

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